カーナビゲーションは、画面上に地図と現在位置を示してくれる便利な装備である。このカーナビがあれば、道に迷うということは皆無となった。 カーナビは、人工衛星からの電波をキャッチし、現在位置を割り出すシステム(GPS)で、現在はさらに誤差を小さくしたDGPSも登場している。 しかし、このGPSには欠点があるのだ。人工衛星からの電波は、トンネル内やビル街、木立の中など、電波受信が妨げられることはたびたび発生する。受信が妨げられると現在位置が正しく表示されなくなるのだ。 この欠点を補うシステムが、自立走行システムだ。これは、GPS電波が途切れても、ジャイロセンサーと呼ばれる装置が車速や向きを測定し、自車位置を割り出すのだ。 今回は、このジャイロセンサーだけでどこまで正確に現在位置を測位出来るかを確かめた。 人間に例えるならGPS電波は目にあたる。今回の実験は目をふさいで歩き、歩いた距離や自分の向いている方向を推測し今いる位置をどれだけ正確に把握出来ているかといった内容である。
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【試験方法】 GPS電波を遮断して長距離を走行する。どこまで現在位置を正確に測位出来ているかを観察する。 電波の遮断には、高性能電磁波カット薄膜を使用した(ただのアルミホイルだったりして・・・)。この車のGPS受信アンテナはナビ画面上部ダッシュボードの中にある。右上写真のように、GPS受信アンテナを覆うようにアルミホイルを敷いた。 このままではアルミホイルに太陽光が反射し、フロントガラスに写って前方の視界が悪くなるので、黒い布を上に被せた(右下写真)。 これで、99%程度電波は遮断出来るが、希にGPS電波を測位してしまう。かなりの高性能な受信アンテナだなあと妙に感心してしまった。 試験車両は、私の愛車トヨタハリアーのマルチAVステーションUである。このナビには、ジャイロセンサーに加え、マップマッチング機能(地図上で現在位置が道から外れても、道の上へと表示を戻す機能)が搭載されている。
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【試験結果】 主要道路(国道など)を走行する分には、現在位置がずれてきてもカーブや曲がり角でマップマッチング機能が作動し、正常位置に戻される。今回、150km程国道を走行したが、最大で50mほどずれるものの、カーブや曲がり角を曲がると正常位置に戻された。ここまでは、GPSが無くても何ら問題は無しである。 次に、山道に車を走らせた。かなりくねくねした道である。ゆっくりと走らせると、ちゃんと正確な位置を示している。面白くないので、スピードを上げてみた。すると、みるみるうちに道から外れてきた。 進行方向もずれてきている。北に向かっているのにナビは西へと向かっている。どんどん正常位置から離れていく・・・ カーブをゆっくり曲がれば、地面とタイヤのズレが少ないが、スピードを上げて曲がると、タイヤがきしみ、ズレが発生する。進行方向も今回は最大で約90度のズレが発生した。進行方向がずれるとみるみる正常位置からの誤差が大きくなってゆく。 右図は、ズレが発生したために普段走れないところを走る様を記した。
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今回の最大のズレは正常位置から14.5kmであった。 今日の走行試験では、計4回GPS電波を受信してしまい、そのたびに正常位置へもどされてしまった。これが無ければさらにズレは大きくなったことだろう。 電波を完全にシャット出来る方法だれか教えて〜!ナビ装置を開けてアンテナ線を抜けばいいのだが、手間がかかるのでやりたくないし・・・ |
【結論】 自立走行のジャイロセンサーはかなり精度がよく、周囲に平行した同じような道がなくある程度のカーブや曲がり角がある道ではほぼ正確に測位出来ていた。 また、山道のように急なカーブが頻発する道でも、ダッシュボード上に置いた満タンのジュースがこぼれない程度のかなりゆっくりした運転をすれば道を外れることはなかった。しかし、普通の人が山道を走る平均的なスピード程度ではすぐに道から外れてしまう。カーブの頻発する山道では、道を外れてもある程度はマップマッチング機能で道上に戻されるが、正確な位置に戻せずあげくは全く違った方向へと突き進んでゆく。 平行した道が縦横無尽に林立する都心部や、延々と続く直線道路ではどの程度ズレるのか今後見てみたい。 自立走行のカギはタイヤにある。どれだけタイヤと地面のズレを小さくするかにかかっている。急発進急加速急旋回などは御法度なのである。
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途中、長野県高峰高原ですばらしい景色と遭遇したので、みなさんにも見せてあげよう。 下の3つの写真をクリックすれば拡大写真が出ます。壁紙などにご利用下さい。 |