この季節になると、必ずやってくるあいつ。
夜、寝ていると、「ぷ〜〜ん」とかすかな音を立て、近づいて来る。
そう、あいつの名は、蚊
蚊がいる!と思って、電気を付けてキンチョールをかまえる。
さあ、どこだ?と思った時には、もうやつは物陰に隠れていて姿を見せない。
そして、電気を消して、眠りに入るやいなや、またも「ぷ〜〜ん」と近づいてくる。油断すると、知らない間にもうかゆくなっている。一瞬の出来事だ。
そうなると、かゆくてかゆくてしょうがない。もうやつをしとめるまでは眠れない・・・。
みなさん誰しも経験があるだろう。夜中の安眠を妨害する蚊。
そんな嫌われ者の蚊の成長ぶりを、少し覗いてみませんか?

 

左の写真は、蚊の幼虫「ボーフラ」だ。
これは近所の防火用水に生息していたものをかっさらってきた。一般的な蚊”アカイエカ”という種類の蚊だと思います。
水面に浮いていて、しっぽを上にして漂っている。覗こうとして人影が見えるとすぐに潜ってしまう臆病者だ。
卵からかえったボーフラは、約1週間で4回の脱皮を繰り返し、徐々に大きくなってゆく。この頃の主食は、水底に漂うコケだ。たまに水底まで潜ってゆき、コケをぱくぱく食べていた。
泳ぎ方は、体をくねくねさせて水中を移動する。

 

おや?ボーフラに変化が現れた。なんと、猫がコタツで丸くなるかの如く、丸まってしまった。
これは、ボーフラが蚊になる直前のサナギ(オニボーフラ)である。
このオニボーフラ、サナギとは言え、じっとしているわけではない。ちょっと水面をゆすってやると、まるでエビが逃げる時のように、しっぽを伸ばしたり巻いたりしながら素早いスピードで逃げてゆく。ボーフラの時より数倍素早い動きだ。
この時、3匹しか取らなかったはずのボーフラが、いつの間にか4匹に増えていた。おそらく卵がかえったのだろう。防火用水からかっさらった時には、卵までは気が付かなかった。かなり小さかったのであろう。

 

サナギになってから3日ほどが過ぎただろうか。朝起きると水面に蚊が誕生していた。
水面にアメンボのように浮かんでいる蚊。飛び立つのはもう間もなくだ。
この時点で、この蚊は何を思っているのであろうか?「よーし。これからばんばん人間の血を吸うぞー!!」とか、「うわさではO型の血がおいしいらしいなー。」とか、これからの人生(蚊生!?)のことを想像しているのだろうか。
実は、蚊の主食は”血”ではないのです。主食としているのは、花のミツや草の汁などです。血を吸うのはメスのみで、産卵前の、大量に栄養分が必要な時だけ血を吸います。

 

さっそく飛び立ちました。水槽の中をぶんぶん飛び回る蚊。かなり元気だ。
ところで、蚊は1回にどれだけの血を吸えるか知っていますか?実は、自分の体重と同じくらいの血を吸うことが出来ます。人間に換算すると、体重40キロの人が、40リットルのジュースを一気に飲むようなものです。とても人間業ではありません。人間がそんなに一気に飲んだら胃が破裂してしまいますね。
たまに、おなかがぱんぱんの蚊が飛んでますね。案の定、飛ぶスピードが遅くなっている。そんなだと、しとめるのも簡単だ。両手で叩き潰すと、血がたっぷり手に付いてしまう。欲張りな蚊はこうなる運命なのだ。何事も人生欲張らずにこつこつと少しずつ地道にこなしてゆくのが正解なのですね。

 

しかし、蚊の生命力はたいしたもので、エサのない水槽の上でぶんぶん飛ぶこと4日間。何も食わずで生き長らえておりました。さぞかし、水槽の中から私の血液O型の腕を見て、「吸いてー!!」と思ったことでしょう。
蚊が成虫になってからは、約2〜3週間で寿命を迎えます。その間に、交尾、産卵を行います。
産卵してから卵がかえるまで2〜5日、ボーフラがサナギになるまで7〜10日、それから3日ほどで成虫になり、2〜3週間で寿命を迎えます。これが蚊の一生です。

しかし、蚊の繁殖力には驚きます。防火用水の水をきれいに入れ替えても、僅か1週間程度でボーフラがわいてきます。蚊は人間の血を吸い、かゆくなるだけならいいのですが、まれに伝染病を持ってくる恐ろしい相手なのです。
みなさんも家の庭とかに置いているおけなんかは、雨水が溜まらないようにひっくり返して置くとかして、出来るだけ蚊の発生を防ぐようにしよう。

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